反復性中耳炎
発症しやすい免疫未熟な
2歳未満
牧耳鼻咽喉科医院(前橋市)
院長
牧 清人さん
子どもが度々中耳炎で夜熱を出し、治ってもすぐ再発することがあります。小児急性中耳炎診療ガイドラインでは「過去6カ月以内に3回以上、12カ月以内に4回以上罹患」を反復性中耳炎と定義しています。
3歳までに急性中耳炎を罹患する回数の割合は、1回が50~71%、3回以上は30~40%と高く、子どもの発熱の原因として比較的多い病気です。特に生後6カ月以内に急性中耳炎に罹患すると、反復罹患しやすいことが報告されています。
生後6カ月ごろまでは母親からの免疫で守られていますが、その後2歳ごろまでは自らの免疫能が未熟で感染に未防備な状態です。集団保育などで頻繁に感染にさらされると反復性中耳炎のパターンが形成されると考えられています。
母乳保育が十分でなかった、家族に喫煙者がいるなどでさらに免疫低下をきたします。乳幼児の耳管は短く水平であるため、寝かせたままの授乳で胃酸の逆流、おしゃぶりの使用でも感染リスクが高まります。
乳幼児の中耳炎の治療は、有効な抗生剤を速やかに十分な量・期間与えなくてはなりません。重症の場合は鼓膜切開で排膿し、炎症を抑えることが推奨されています。放置すると、耐性菌を誘発し、難治性遷延性中耳炎に移行する可能性があります。
中耳が発育する乳幼児期に中耳炎が長引くと、難聴による言葉の遅れだけでなく、手術が必要な慢性中耳炎に移行するリスクもあります。反復性中耳炎になるお子さんの80%は2歳未満です。この時期に中耳炎が治りにくい場合は、家庭での環境整備や一時的な保育園からの避難など保育の見直しも考慮してしっかり治しましょう。
協力/群馬県医師会