避難所の新型コロナ対策
感染予防徹底し
命守る行動を
新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)のワクチン接種が始まり、収束に向けた期待が高まっている。そうした中、いつ発生するか分からないのが地震や台風といった自然災害だ。市町村が発令する避難指示などにより、避難所への避難を余儀なくされることもあり得る。不特定多数が集まる避難所での感染対策をはじめ、予防につながる持参品や注意点などを確認し、災害時に備えよう。
「3密」避ける
新型コロナの感染対策の基本は、手洗いやマスクを着用する「咳エチケット」のほか、「3密」(密閉、密集、密接)を避けることだ。
学校の体育館や施設などの避難所においても「密閉」空間にしないよう、十分な換気と定期的な清掃や消毒をし、「密接」しないようなスペースの確保が求められる。避難する人たちは、事前に避難所以外に安全な避難先を確保し、避難先を分散させて「密集」しないようにすることも必要だ。
昨年6月、県危機管理課と県保健予防課は、各市町村との防災担当者会議を開催。避難所における感染対策の徹底を呼び掛け、避難所の運営方針をホームページなどで公表している市町村もある。
“居住”の確保
避難所では受付で健康状態の確認や検温を実施。感染を防ぐためには、距離を保つ“居住”スペースの確保が重要となる。
テープでスペースを区切る場合は、区画間は2メートル(最低1メートル)空ける。感染対策だけでなく、プライバシー保護の観点からも段ボールを活用したパーティションやテントが望ましく、各自治体でも備蓄が進んでいるという。
また、床に直接寝具を敷いて寝ると、床に落ちたウイルスを含んだ飛沫を吸い込むことで感染リスクが高まるため、30センチ程度の高さのある段ボールベッドが普及している。
災害時に濃厚接触者の避難先を適切に確保するため、感染者との濃厚接触者の情報は各保健所と自治体が共有している。
避難所では、濃厚接触者や発熱などの症状がある人の専用スペースを設け、出入り口やトイレ、ごみ箱などを分け、ほかの避難者と接触をしないような動線をつくる。発症した場合は、保健所に連絡し、迅速に患者が接触したところをアルコール消毒し、感染拡大を防ぐ。
日頃の備え
感染予防のために避難所に持参するものは、マスクや体温計、消毒液、タオルやハンカチ、スリッパや着替え、毛布などが挙げられる。そのほか避難所生活で不便を感じないよう、必要なものを事前に準備しておくことで、緊急時でもスムーズな避難につながる。
感染リスクを下げるためには、分散避難を検討する必要もある。周囲の安全を十分に確認した上で、車中避難や在宅避難も選択肢の一つになる。親戚や友人宅への自主的な避難や、ホテルや民間施設の活用も有効だ。
県保健予防課は「避難所に避難しても、基本となる感染対策を徹底することが重要」と強調し、県危機管理課は「災害はいつ起こるか分からない。自宅周辺のハザードマップを事前に確認し、命を守るための行動を取ってほしい」と日頃の備えを呼び掛けている。