特集・肺がん/健康運動

有酸素で 予防リハビリ

斉藤智子さん

合併症や後遺症予防

一般的に何らかの障害が起こってからリハビリをしますが、がんの場合、手術や抗がん剤治療などが始まる前、あるいは直後から「予防リハビリ」を行い、治療に伴う合併症や後遺症などを予防します。国立がん研究センター・がん対策情報センターによると、ウオーキングによる有酸素運動は、20~30分間を週3~5回行うのが理想的とされています。

楽々気軽にエクササイズ

2018年から海外の文献で「運動が疲労を著しく軽減し、心身の健康を改善する可能性がある」と紹介され始めました。「肺がん」のリハビリとして「穏やかな有酸素運動と筋トレ」が有効とされていますが、気分の低調、意欲欠如、疼(とう)痛および治療の副作用が運動をすることへの妨げになっています。まだまだ「がんと運動」は未知数が多く、運動内容や強度が検討される状態であるのも事実です。健康診断を受けて体調管理に努めましょう。

「気持ちよく、楽しく、のんきに、心地良さを感じながら」運動することがポイントです。深呼吸をしながら、免疫力アップを目指しましょう。

Step1:肋骨を意識した胸郭周りのストレッチ

背中が曲がると、肩甲骨の動きが硬くなります。背骨も円背(えんぱい)となって胸郭が狭くなると、呼吸が浅くなります。大きな呼吸を行うために、まず肋骨(ろっこつ)を意識した胸郭ストレッチで、ウオーミングアップしましょう。

Step2:無酸素から有酸素へ切り替わる呼吸を意識

運動開始時は無酸素ですが、8~10分続けると、肺胞から酸素が取り込まれる機能が働き、有酸素運動に切り替わります。この時間を意識して運動しましょう。

①「1、2、1、2」と足踏みします。腕は前後に振り、呼吸は「吐いて、吐いて、吸って、吸って」と吐く方を意識します。

②8~10分あたりが「少し息苦しいな」と感じる有酸素への切り替え時間。ペースを落としたり、一休みしたりしてもいいです。

③15分以上からが有酸素運動。少しスピードを上げた「エクササイズウオーキング」や「エアロ・ステップ」を楽しみましょう。

Step3:習慣化へひと工夫

屋内でも有酸素運動は可能です。テレビを見ながら、音楽を聴きながら行うとあっという間に30分たちます。楽しい空間と時間をつくる工夫をして、スムーズに呼吸ができる身体に整えていきましょう。

心拍数と合わせて酸素飽和度の測定器が有効で、95~100%は正常、90~94%は要注意、90%未満は運動禁止です。少し数値が下がっても休憩すると回復するので、運動強度の指標に役立ててください。

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