「ぎっくり腰」は急に起こる強い腰の痛みの通称で、医学的には「急性腰痛症」と言います。多くは重い物を持ち上げようとしたときや腰をねじったときに発症しますが、起床直後や何もしていないのに起こることもあります。
腰の筋肉・靭帯(じんたい)などの軟部組織の損傷や、軟骨(椎間板)の損傷が原因と考えられていますが、画像検査で映し出せないため、多くの場合、はっきりした原因が確定できません。
一般的に1~2週間前後で自然に回復することが多いです。痛みが強いときは、腰に負担の少ない楽な姿勢をとることが必要ですが、最近の研究では、長期間の安静はむしろ回復を遅らせることが分かっています。発症から2~3日後の痛みが和らいだ頃に、動かせる部位は積極的に動かすことが重要です。
ぎっくり腰を起こすと、1年以内に約25%の人が再発するといわれています。再発防止には①無理な姿勢をしない(特に前かがみ)②ストレスをためない③腰の負担になる肥満に注意④腰痛回復後の適度な運動が有効―と考えられています。腰痛が改善しないとき、下肢の痛み・しびれ、力が入りにくいなどの症状があるときは、ぎっくり腰でない可能性があるので、整形外科の受診をお勧めします。