日本人の3人に1人は「痔主」とされています。肛門疾患(痔)の主な症状は、痛み・出血・脱出・腫れです。痛みを起こす痔には、突然肛門縁が腫れる血栓性外痔核や、排便後に出血を伴う裂孔があります。裂孔は慢性化すると痛みが長引き、狭窄(きょうさく)や肛門ポリープを合併して手術を要します。
肛門周囲膿瘍(のうよう)は耐え難い痛みを伴い、切開排膿術が必要で、多くが痔瘻(ろう)化します。痔瘻は単純型と複雑型があり、原則要手術です。後者は放置すると、がん化の可能性が指摘されています。出血は痔核でもみられます。痔核には外痔核と内痔核があり、後者は無痛です。脱出程度によりⅠ度からⅣ度に分け、Ⅲ度以上は手術も検討します。
痔だと思って血便を放置する人が多いようです。直腸・大腸がんとの鑑別のため、早めに専門医を受診しましょう。また、脱出後戻せない嵌頓(かんとん)痔核では早めの受診、還納(もとに戻すこと)が必要です。
便秘を繰り返すと裂孔や内痔核の発生リスクが、下痢の場合は肛門周囲膿瘍や痔瘻、痔核の発生リスクが高まります。痔の予防で重要なのは排便習慣を整えることです。そして排便時間は5分以内を目安に短くしましょう。